教員・研究紹介

「進化」をつかった分子機械・分子システムのデザイン学

梅野 太輔 教授

私たちは,生体高分子を主素材とする分子素子の開発を行っています.タンパク質は,分子認識素子(センサー)としても,触媒(酵素)としても,構造材(ナノ材料)としても,その他の物質系には実現できない次元の性能を発揮します.官能基レベルでは,平凡な彼らが別格の性能を示すのは,「進化する」という特別な性質を持つからです.我々は,分子進化工学という技術を用いて,今まで不可能であった数々の化学プロセスの実現を目指しています.

機能性高分子の設計および合成と電気・光物性の開拓

小柳津 研一 教授 (高分子化学部門)

合理的な分子設計に基づく新規高分子の合成とその特性解析を通して、高分子の構造と電気・光物性の相関を追究しています。また、高密度レドックス分子を電荷分離・輸送・貯蔵材料に用いた有機電池、キャパシタ、太陽電池など、高分子ならではの特徴を生かした有機エレクトロニクスの開拓に取り組んでいます。特定の分子機能を発現させる原理の解明からデバイス応用までを課題とし、新しい高分子材料を創り出すための基礎を研究しています。

バイオの無限の可能性を追求し社会に役立てる

木野 邦器 教授 (応用生物化学部門)

食料、資源、エネルギー、環境問題といった21世紀に山積みされた多くの課題に対しバイオテクノロジーに大きな期待が寄せられています。目に見えないミクロの生物たちの無限の可能性をナノレベルで探り、この生物機能や遺伝資源を最大限に利用する研究をしています。豊かな社会を築くために、革新的なバイオ技術の創出や効率的で地球に優しいバイオプロセスの確立を目指しています。

酵素と微生物のバイオテクノロジーで機能を創造する

桐村 光太郎 教授 (応用生物化学部門)

自然界の微生物は生命多様性の宝庫であり、私達の常識を超えた素晴らしい酵素が発見されています。そこで、微生物酵素あるいは微生物細胞そのものを生体触媒として利用し、クエン酸や機能性配糖体などの有用物質生産あるいは分子変換のためのバイオテクノロジーについて研究しています。また、遺伝子工学や代謝工学で生体触媒を改良し、グリーンバイオテクノロジーの展開を図っています。

無機骨格を階層的に組み上げ新しい機能を創出する

下嶋 敦 教授(無機化学部門)

環境、エネルギー、医療など様々な分野への応用を主眼に据え、無機酸化物をベースとした新材料の創製に取り組んでいます。低環境負荷、省エネルギーの溶液プロセスを基本とし、原子・分子レベルからマクロレベルに至る幅広いスケールで階層的に構造制御するための新しい合成化学を確立することで、従来の材料を超える高度な機能、複合機能の創出を目指しています。新規ナノ空間材料をはじめ、刺激応答性材料や自己修復材料など各種スマートマテリアルの開発に特に力を入れています。

無機―有機ハイブリッドの合成技術を発展させるとともに応用展開をはかる

菅原 義之 教授 (無機化学部門)

無機-有機ハイブリッド材料は,有機材料と無機材料の利点をあわせもつことが期待されることから“次世代の材料”として研究が行われています.有機材料と無機材料の組み合わせは無限であり,数限りない新材料を生み出すことが可能です.私たちは、無機化学に軸足を置きながら,様々なアプロチにより無機-有機ハイブリッド材料の合成に取り組んでいます。ハイブリッドの合成に加え,ハイブリッドを利用したセラミックス材料の合成手法の開発にも取り組んでいます.

非在来型触媒反応と水素製造・天然ガス転換

関根 泰 教授 (触媒化学部門)

環境とエネルギーの分野において次世代の技術のためになりうる新たなる触媒プロセスを研究している。非在来型、すなわち他がやらない独創的な触媒システム、触媒プロセスに力を入れ、固体アイオニクスの酸化還元能を生かした触媒や、高度に制御された担持金属触媒、さらには電場やプラズマを併用した低温作動型触媒プロセスなどを独自に展開し、水素製造や付加価値の高い化合物の直接合成、環境浄化触媒システムの開発などに取り組んでいる。

ナノ材料をマクロに作り、社会を支える

野田 優 教授 (化学工学部門)

炭素や珪素などの“ありふれた元素”を用いても、ナノ粒子やナノチューブのように構造を精緻に制御すると、素晴らしい機能を実現できます。しかし社会を支えるには、小さなナノ材料を大規模に作る必要が有ります。ナノ材料が“なぜ”できるかを基礎的に理解し、応用にあわせて“どう”作るか自由に考え、良いモノを上手に作ることで、持続可能社会への貢献を目指しています。

希望の高品位結晶を自在に創りあげる先進晶析工学

平沢 泉 教授 (化学工学部門)

化学工学の単位操作の一つである結晶化工学の研究を展開しています。21世紀は、団体を創造する時代であり、高品質の結晶をナノ構造の視点から自在に創製することが求められます。そこで、装置内の基礎現象(核発生、結晶成長など)を土台にして、希望の結晶を創成するための操作法や環境に優しい分離プロセスの最適設計を目指しています。

エネルギーに貢献するマテリアルの創製

福永 明彦 教授(応用物理化学)

エネルギーは産業・社会を支える基盤です。持続的発展可能な社会の実現に向けて、再生可能エネルギーや省エネルギーの普及促進を可能とするマテリアルおよび、それを利用したデバイスの開発を目指しています。

ナノエレクトロケミストリーで新しいデバイス・システムを創る

本間 敬之 教授 (応用物理化学部門)

固体と液体の界面という特異な反応場に注目し,そのナノ領域での特性を様々な実験的方法やシミュレーションによる理論的方法から詳細に解析し,それを十分に活かした新しい反応プロセスやデバイス・システムを創製することを目標にしています.例えば3次元ナノ構造を作り込んだ超高密度記憶デバイスをはじめとした高機能デバイスや、バイオセンシングに用いるマイクロ化学反応システムなどが現在の研究対象です.

触媒の力でエネルギー・環境問題に挑戦する

松方 正彦 教授 (触媒化学部門)

触媒は新しい化学反応を実現するために欠かすことのできない機能です。エネルギー・環境問題の解決、新しい材料の開発などは、新しい化学反応の発見や開発が鍵となることが多く、触媒はそのなかで重要な役割を果たしています。触媒化学をコアとして、石油を中心とした化石資源の有効利用、廃棄物の有効利用、高効率な化学プロセスの開発など幅広い分野に挑戦しています。

電気化学反応を探求してエネルギーデバイスを革新する

門間 聰之 教授 (応用物理化学部門)

化学エネルギーと電気エネルギーを直接変換する電気化学反応は、電解による精密な材料合成に加えて電気化学的な蓄電、発電デバイスの中心となる反応です。二次電池・燃料電池・キャパシタ実現のための、材料設計・開発からデバイス構造の検討、デバイス特性評価を行っています。高い性能を有する材料の設計と開発から、デバイスとして組み込むための、電子移動、電荷移動、物質移動を考慮に入れた構造の設計、デバイス実現のための作製プロセスの検討と、その評価法の開発も行っています。

分子をつなぐ・壊す・革新的分子の創製に挑戦する

山口 潤一郎 教授(有機合成化学部門)

分子という機能の最小単位には無限の組み合わせが存在し、それを組み立てる「面白さ」だけでなく、私達の努力により成功の「可能性」を生み出すことに適しています。分子の組み立てを実現できるのは合成化学。その合成化学の発展に資する、我々の研究は3つ。 「分子をつなぐ」「分子をぶっ壊す」「面白い分子をつくる」これらの極めて基本的な合成化学の命題に対して、独自の合成戦略と触媒で分子構築の匠を目指します。

電荷分布の制御によるナノスケールのものづくり

江口 美陽 准教授(ものづくり部門)

人の手で物を作るときには、重力や弾性力、摩擦力などを利用します。これに対し、化学的な「ものづくり」では、化学結合力や分子間力・場の力など、種類が多く拮抗した強さを持つ相互作用を同時に考慮する必要があります。これは反応系全体における電荷分布を制御する試みであり、化学の総合的な理解が必要となる、心躍る挑戦です。より精緻にデザインされた化学反応系を組み上げ、地球にやさしいものづくりを目指します。

基盤となる高分子合成、高次構造と機能発現の相関を研究

須賀 健雄 准教授(高分子化学部門)

プラスチック・ゴム・繊維から電子部材まで多くの高分子材料が身の回りで活躍しています。自ら分子をデザインし、自在に繋ぎ、高分子の鎖が織りなすナノ寸法の模様(相分離構造)を精密に制御することで、複数の多様な機能を組み込んだ新素材の開発を目指しています。蓄電池、太陽電池、メモリ素子や光学フィルム、スマートコーティングなどを例に、基盤となる高分子合成、高次構造と機能発現の相関を研究しています。

天然物の全合成と新反応の開発

細川 誠二郎 准教授 (有機合成化学部門)

分子を思い通りに構築するのが化学であるが、これは実際のところ簡単ではない。私は必要なものを必要な量作る力が新しい科学を産み出す、と考えており、「思い通りに分子を作る」ことを目指して、有機合成化学による生理活性物質の合成研究を行っている。構造・活性共に多様な生理活性物質を研究対象に、目的物を速やかに作るための「短工程合成経路の確立」と「目的構造を一挙に作る反応の開発」を実践している。

医療を応用化学で支える

小堀 深 専任講師 (化学工学部門)

物質の移動を化学的に解析する手法に、化学工学という学問があります。この化学工学を用いて医療現場で用いられる人工臓器の研究を行っています。特に人工肺と人工腎臓に注目し、酸素や血液などの流動状態を解析し、物質移動を視覚的に捉える手法を用いています。これらの人工臓器の高性能化を効率的に進め、安全で安価な未来の医療へ貢献することを目指しています。

機能材料とプロセス開発で水素エネルギー活用に貢献する

花田 信子 専任講師

水素は燃料電池などから電気や熱を効率よく取り出せ、二次エネルギーとして大量輸送・長期貯蔵が可能です。常温では気体で存在するため、化学物質に変換して液体状にしたり、水素原子として固体状にしたりすることでコンパクトに水素を貯蔵できます。これらの水素貯蔵に関わる物質を材料科学に基づいてナノスケールで制御して開発しています。さらに、化学工学に基づいてそれらの物質の大規模合成法や水素利用のためのプロセス提案を目指しています。

知識としての化学だけでは終わらない。
使える化学を学んで、鍛え上げられた人材に。