曹 偉さん

自分の研究が、将来、実用化される可能性があり、自分の生活の一部として世の中に出てくるかもしれないと思うととてもやりがいを感じます。

曹 偉 (そう い)さん 先進理工学研究科 応用化学専攻 桐村研究室 博士後期課程1年 大連市第三高校(中国)出身

Q1.化学の道を選んだ理由は?

高校生の時から物理、化学、生物が好きでした。特に化学と生物を勉強し始めると非常に楽しくて、時間があればいろんなものを見たりするなど、すごく興味を持っていました。化学にたずさわるにしても、生物に関連したものが面白いなと思っていました。実用化に向けて応用できる研究をしたいなと思って応用化学科を選択しました。

Q2.早稲田大学大学院応用化学専攻の博士課程に進学を決めた理由は?

自国の文化と違う他の文化を試したいと思っていたので、日本に留学しようと決めました。早稲田大学は中国でも有名でみんな知っています。大学に入る前に1年間語学留学をしました。その間にいろんな情報を得て、早稲田大学を志望することに決めました。大学に入学した時から研究の道に進みたいと思っていて、可能であれば博士課程まで進学したいと思っていました。機会があって博士課程まで進学することができて嬉しいです。

Q3.研究テーマを教えてください

私の研究は、簡単に言えば物質の生産に関するもので、微生物酵素を用いた有用物質の選択的合成がテーマです。研究室では「酵素分子創造工学班」に所属しています。エタノールにグルコースがくっついている「エチルα-D-グルコピラノシド」という物質で美白作用、日本酒の風味にかなり影響するものです。日本酒に美白作用のあることが報告されていますがこの物質がまさに関係しています。ただし、日本酒に含まれる量は多くありません。工業生産に適用するためには大量生産が必要で、大量に生産することができれば化粧品や食品など様々な形で応用できる可能性を持っています。修士からずっとこの物質関連の研究をやっています。

Q4. 研究で今いちばんやりがいを感じている点は?

自分が携わっている研究は、かなり実用化に近い部分です。自分の分野を深く探求して、他の分野の知識も取り入れて深掘りして行った先に実用化という可能性が存在するのが嬉しいし、やりがいを感じます。自分の研究が、将来、自分の生活の一部として世の中に出てくるかもしれないと思うととてもやりがいを感じます。

Q5.乗り越える工夫は?

微生物の研究なので、いろんな培養の条件、反応の条件を検討する必要があります。研究なのでうまくいかないことが多いですし、うまく乗り越えるのが大変かなと思いますが、うまく乗り越えたら楽しくなリます。研究は以前の人の経験を生かして、自分の発想をうまく取り入れて研究することが重要です。うまく進まなくなったときは、以前の方の研究や発表論文をみて、自分の研究に取り入れられるような要素を見つけていきます。他の人の研究を参考にしながら、自分の発想で自分の研究に取り入れることで、壁を乗り越えることができます。

 

Q6. 研究室生活で心に残っているエピソードを教えてください

コロナの影響で交流の機会が減ってはいますが、その前は交流の機会がありました。高校時代は人と交流するのがあまり得意なタイプではなく、大学入学後もしばらくは授業を受けるのが精一杯で、他の学生との交流が持てなかったのですが、研究室に入って人と人の距離が近くなり交流が増えました。研究者それぞれの考え方が違っているので、他人の考え方を聞くと自分の研究の考え方のヒントにもなりますし、同じグルコースを使って研究される方もいるので、情報交換のためには交流は重要です。


Q7. ストレスの解消法は?

日本のアニメが好きなので休みの日にまとめて見たりします。研究室の方も何人か同じ趣味の人がいるので、アニメの話をすることもあります。今は便利なSNSがあるので、中国の友達とも連絡を取り合っています。休みの日にzoomやビデオ通話でおしゃべりしたり、一緒にゲームをしたりすることもいい気分転換になっています。

 

Q8. 留学先に日本を選んだ理由は?

自国の文化だけでなく、他の文化を試したいという気持ちがありました。出身地の大連は中国の北の方なので日本にも近く、飛行機で2〜3時間です。父は仕事の関係で日本にきていて、一緒に住んでいるのですが、母は中国にいるので、たまに帰るには近い方が安心かなと思ったこともあります。文化も似ているところが多いので、生活の面でそんなにびっくりしたり困ったりしたことはないです。

 

Q9.将来の夢・進路は?

研究を続けたい、自分の分野を深く探求したいというのが一番です。現在微生物の酵素を使って物質を生産する研究を行っていますが、微生物は現在までに発見され、培養されて取れているのが地球に存在する5パーセントと言われています。まだまだ発見されていないものが多くて、そこで面白い性質が見つかるかもしれません。研究し続けると、いろんな問題を解決できるかもしれないし、いろんな有用な物質を生産できる可能性にも溢れています。酵素一つで化学触媒以上に効率化できますし、アミノ酸20種類の組み合わせで無限の可能性が存在するのが面白いと思います。無限の夢が存在すると言えると思います。
日本に留学できてとても良い経験ができました。さらに他の文化も試したいので、ヨーロッパへの留学を考えています。特にドイツに興味があるので、ドイツに行って研究ができるなら嬉しいですね。

 

Q10. 受験生へのメッセージをお願いします

興味を持って研究することが、一番成果が出やすいです。研究は自分が興味を持ってやらないと、あとあと苦労しますし、楽しまないとうまく行かないことが多いので、自分が楽しく研究できるのが一番重要な点だと思います。そのためには、自分が興味を持ったところに進んだほうがいいと思います。早稲田大学はいろんな研究分野があるので、自分の好きな分野を見つけやすいと思います。

知識としての化学だけでは終わらない。
使える化学を学んで、鍛え上げられた人材に。