川島嵩之

食品、薬、洋服の素材、車のゴム、スプレー缶。生活に身近なものは全て化学が関係している!新素材を使って人とテクノロジーをつなぐ架け橋になりたい。

Q1.化学に興味をもったきっかけ・理由

化学に興味を持ったのは、生活に身近なものは全て化学が関係あるのだなと気づいたことからです。高校の化学の授業で、車に使われるゴムの作り方や、服に使われる素材の一つ、ポリエステルの作り方などを教わり、こんな風にできているのか!と思いました。化学はいろんなものに応用がききます。新素材を使って新しいものを産み出せるのが面白いと思いました。

 

Q2.早稲田大学応用化学科への進学を決めた理由

併願の国立大(東北大)の理学部と迷いましたが、早稲田がいろんな面で可能性の幅が広く、面白みがあると思って決断しました。選択の決め手の一つは、他の学部の授業も受けられるなど、他学部との距離が近いこと。もう一つは、留学を視野に入れて大学選びをしたので、留学先を考える時に早稲田の提携校の幅広さが魅力でした。

応用化学科と化学生命科の選択では、ぶっちゃけ、応用化学科の方が偏差値が高いという理由で選びました(笑)。入ってから気づいたのですが、応用化学科の方が工学っぽい、化学生命科は理学っぽい感じです。自分としては工学で実際に何かを作っていく方が面白かったので、結果的としては、自分に在った選択をしたと思っています。

 

Q3.高校時代に夢中になったこと

バレーボールの部活に入っていて、活動日は週に4日、土日は大会でした。塾も週4で通い、塾と部活の両立が大変で毎日、ヒーヒー言っていました。

高校2年生の時にアメリカに1カ月留学したこと、高校3年生の時に文化祭実行員の局長(実行委員長)をやったことは楽しい思い出です。メリーランド州のボルチモアという都市でサマースクールに参加したのですが、世界中から学生が集まってきていました。いろんな人がいるし、いろんな国があるというのがわかったし、日本の良さも悪さも見えてきました。その経験があるので大学でも留学したいと思うようになりました。

文化祭の準備では、夏休み中も学校に行ってステージの設営など共同で作業を行いました。スプレー缶で色を塗りながら、手に持った缶が冷えていくのを感じて、「ああ〜、ほんとに冷たくなるんだな」と思ったことを覚えています。化学の授業で習う「気体の状態方程式」の通りで、こんなところにも化学が関係しているんだなと思いました。

 

Q4.高校の授業と大学の授業の違う点

僕の通っていた高校は若干特殊な授業形態で、高校3年生から自分で授業を選択でき、比較的好きな授業が選べました。それでも、大学の方がより自由度が高く、自分の興味や関心に合わせて授業が選べます。特に早稲田は学部関係なく授業がとれるので、心理学、プログラミングの授業など他学部の授業も履修しています。

今年(2020年度)はオンライン授業が中心だったので、他学部の授業がより取りやすかったです。

 

Q5.好きな科目・好きな理由

自分としては、有機化学と物理化学の分野が面白いと感じています。

有機化学は、高校生の時に面白いなと思ったゴムの製法などの発展版みたいな感じで、日常では意識しないで使っているものの裏側がわかるのが楽しいです。

薬やもっと身近な食品について、製法やこういう化学反応がある、こういうところにも使われている、と新しく知る度にすごいな〜と感動しています。

食品パッケージの裏に記載されている化学物質名を見て「これがこういう役目なのね」とわかるなど、普段意識していないものの裏側がわかるのが興味深いです。
物理化学の面白いところは、中学の授業で「覚えてください」と言われてなんとなく覚えていたことの奥の方を知っていけることです。こういう言葉で説明できるんだ、こういう数式で説明できるんだ、グラフの曲線が描けるんだという驚きと感動があります。

 

Q6.授業以外の時間の過ごし方

サークルはジャズサークルに入って、テナーサックスを吹いています。高校までは部活中心の生活で音楽には縁が無く、楽譜が読めない状態から始めました。今はコロナの影響でなかなか集まれないのですが、1年生の時は授業が終わると週4位のペースで練習場に顔を出していました。サークルで早稲田祭にも参加しています。今年はリアル開催ではなく配信になりましたが「チュニジアの夜」などのスタンダート曲を演奏しました。

 

Q7.高校から大学に入ってどんな世界が新しく見えてきたのか

最近、ああ、勉強って面白いなと思います。高校生の頃は、勉強って自分の中で正解を見つけるためのものだと思っていました。大学で勉強するようになって、勉強の意味がもっと楽しい方に変わってきています。

オタク用語で「沼」という表現がありますが、沼にもいろんな種類があって、水たまり程度のものから、湖、海の広さまであると思います。勉強というのは、沼を泳ぐ手段、その中をいろいろ知って楽しむための手段だと思うようになりました。

砂浜でチャプチャプ遊ぶでもいいのですが、勉強で得た知識を使ってもう少し沖まで行けたり、ボートや船を使ってさらに詳しく海を知ることができたりします。潜水艦レベルの知識を持っている人はさらにその奥深くまで潜っていけるわけです。

知識があればあるほど、海ってこんな風に繋がっているのかというのに気づけるわけで、自分のやりたいことを探求していくために勉強の知識がすごく大事だとわかってきました。

 

Q8.大学生活を送る中でどんなふうに自分が成長したのか

高校生の時は、なんとなくですが将来的には研究みたいなことをしたいなと思っていました。大学で学び、特に専門の化学以外にもいろんな授業を履修することで、視野が広がりました。入学前は、留学したいな、研究の道に行きたいなぐらいだったんですけど、それ以外にもいっぱい面白そうな道がある事に気づきました。

就職についても具体的にこういう企業への就職の可能性があるんだな、起業という道もあるんだな、という感じで、未来のビジョンが広がりました。可能性の方向が広がり過ぎて、逆に迷いが生まれている面もあります(笑)。

 

Q9.将来の夢・進路

人間と機械をつなぐ役割をするものを作りたいなと思っています。人とテクノロジーをつなぐ架け橋みたいなものをやってみたいという思いがあります。例えば、スマートフォンなどの機械があった時に、それが人の手で触りやすいデザインになっているか、とか。センサーにも興味があります。応用化学科でセンサーの研究をしている教授がいますがセンサーも人と機械をつなぐ役割です。研究の道に進むのか、それを広める会社を作って起業するのか、就職してそういうことを企画に携わるのかはわかりませんが、心理学やデザインの授業もとってみて、文系理系のどちらも含めたハイブリッドなことをやりたいと思うようになりました。

 

Q10.受験生・高校生へのメッセージ

高校の3年間は貴重です。大学受験だけに縛られないで、高校時代は高校生の時にしかできないことを楽しんでほしいなと思います。

勉強する意味を自分で見つけて、勉強することも楽しく。年上の方達が自分の方が経験豊富だから言うことを聞け!みたいな態度で接してくると、イラッとはすることもあると思います。でも、勉強する内容というのは、先人たちの勉強の結果。その人が生まれる前の人たちの経験の積み重ねだと考えたら、知識を蓄えることに損はないはずです。

 

(学年は取材当時のものです)

知識としての化学だけでは終わらない。
使える化学を学んで、鍛え上げられた人材に。