創立百周年記念事業:デジタルアーカイブ化

応用化学科が2017年創立百周年を迎え、関連する写真、アルバム、文書のデジタルアーカイブ化に取り組みましたので、その中間報告をさせていただきます。本件の遂行には、本記念事業へのご寄付の一部を利用させていただいております。ここに改めて厚く御礼を申し上げますと共に、今後ともなお一層のご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

大学史資料センター(東伏見)に残る卒業アルバムのデジタル写真化

同センターには応用化学科に関するアルバムとして、以下の4冊が保存されていますが、印刷ではなく当時の写真がそのまま使用されており、激しく劣化している部分があります。このまま放置したら復元がさらに難しくなることを危惧し、当記念事業委員会ではこれらをデジタル化する提案を行い、応用化学科並びに同センターの承認を経て(同センター助手佐川享平氏担当、2017年4月16日)、デジタル写真撮影を行いました。8月28日から9月22日にかけ大日本印刷株式会社鶴瀬工場にて実施。歪みや劣化補正など各種処理を施し、ハードディスクスクに収められて9月末に納入されました。

対象となった卒業アルバム(記号A~Dは応用化学科の付した識別記号)は以下の通りです。

A 1917 大学部理工科卒業記念アルバム souvenir album 大正六年

B 1920 早稲田大学[大学部]理工科 卒業記念 大正九年七月

C 1920 早稲田大学大学部理工科応用化学科第一回卒業記念写真帖

D 1923 早稲田大学理工学部応用化学科卒業記念写真

 

寄付口座と寄付総額

百周年記念事業を遂行するために今回設定をした寄付口座は、ゆうちょ銀行、店番018、普通預金、口座番号78759931、口座名義は、「早稲田応化百周年記念事業」でした。現在までに200名を超える応化会会員の皆様より300万円を超えるご寄付を頂戴しています。この場合、寄付金額の2割は大学のものとなり、残り8割が当記念事業として配分される規定となっております。今回のデジタルアーカイブ化はこれらの寄付金や応化会、応用化学教室などの寄付金により支えられて実施されております。

 

早稲田応用化学会(以下応化会)でのデジタルアーカイブ化の動き

応化会では、古くなり棄損が目立つ草創期の応化会報等の文献資料の写真撮影を進めることとなり、応化会報第1号より77号(昭和39年9月)まで、製本化冊子を解体せずに高精度なカメラで撮影曲面補正などを施しました。引き続き残った資料の撮影並びに文字情報を検索可能な文字列とするためのデジタル情報への変換ソフトの導入を検討しているところです。

 

デジタル化の効用と今後の計画

 (1)クリアな写真への修整と情報アクセス性の向上

現6号館の入口壁に掲げられている白い銘板(豊眀會記念應用化學實驗室)は、元々応用化学科の創立翌年(大正7年10月)に竣工した豊明会記念応用化学実験室の建物の壁に掲げられていたもの(デジタルアーカイブ化され補正を施した画面により確認)と同一なのかが今まで不明でした。この建物は大正12年9月の関東大震災で焼失しており、銘板はレプリカではないかという疑念もありました。しかし撮影された応化会報誌面からの探索により、昭和11年、現6号館竣工に当たっての小林久平先生の一文に、この銘板が“元のものを移設した”と書かれていることを見出しました。これによりこの大理石の銘板はほぼ百歳で、オリジナルなものであるということがわかりました。

このようにデジタル化は、古くなり朽ち果てつつある写真や文書を蘇らせ、永遠の命を与える極めて大事な作業であり、また普段読むことが難しい古い文書類にユビキタスにアクセスできる利便性を与えるものであると言えます。こうしたことが今回の百周年記念事業の一環として実現したことは大変喜ばしいことであり、多くの皆様の善意に支えられた貴重な文化的事業とも言うことができます。

さらにこれら応用化学科の草創期に関する写真や文書は、応用化学科の歴史と伝統を明確に照らし続けることはもとより、今後応用化学科に入学をしてくる学生にとっても、大隈重信侯自身の創立にかけた理念に思いを馳せ、創立時の労苦を感じるためにも貴重でかけがえのない資料としてその存在価値を高めていくものと確信をしております。

 

 (2)応用化学科に残る卒業アルバムや写真等のデジタル撮影化予定

応用化学科には上記4冊以外にも下記のような卒業アルバムなどの写真資料が残されていますので、これらを順次デジタル撮影し、永続的にアクセス可能な状態にしていきたいと思っております。

1931、1933、1936、1956、1957、1958、1961、1964、1966、1967、1968、1969、1976.この他にも、由来が不明の写真集や単独の写真などがあります。

 

  (応用化学科創立百周年記念事業委員会)

知識としての化学だけでは終わらない。
使える化学を学んで、鍛え上げられた人材に。